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【コラム#20】 ハケンのルール② ~派遣先会社にはどのような責任があるのか? ~

こんにちは、北海道雇用労働相談センター相談員の安田です。

 派遣社員は、あくまで派遣元会社と雇用契約を結んでおりますので、「使用者」は派遣元会社となります。 

そのため、労働契約の締結や賃金の支払い、有給休暇の管理といった基本的な労務管理は、原則として派遣元会社の責任とされています。 

しかし、実際に業務を指示し、就業場所や作業の手順、休憩のタイミングなど、日々の働き方を管理するのは派遣先会社です。 

そのため、労働基準法をはじめとする労働者保護法制では、派遣先会社にも一定の責任が課せられています。 

以下、派遣先会社に求められる労働法の適用について、派遣元会社と対比して説明していきます。 

例えば、労働時間や休憩、休日の管理は、派遣社員と派遣元会社との労働契約で定められるものの、その実際の運用は派遣先会社が担います。 

派遣先会社が時間外労働を命じる場合には、派遣元会社が締結・届け出している労使協定(いわゆる36協定)の範囲内で命じなければならず、派遣先会社はその限度を超えて命じることはできません。 

派遣社員に変形労働時間制を適用する場合も、派遣元会社が設定した内容に従う必要があります。 

また、割増賃金の支払いは、派遣元会社が行うものの、その計算に必要な始業・終業時刻などの勤怠情報は、派遣社員が実際に働いている派遣先会社が、月に1回以上、派遣元会社に通知しなければなりません。 

年次有給休暇や産休・育休・介護休業の制度運用も派遣元会社が担います。有給休暇の取得時期を変更する「時季変更権」も派遣元会社にしか認められておらず、派遣先会社はその判断に関与できません。 

そのため、派遣社員が年次有給休暇を取得した場合、その日については、派遣元会社が別の派遣社員を手配しなければなりません。 

なお、妊産婦の時間外労働の制限や生理休暇、育児時間の確保など、実際の就業中にかかわる内容は派遣先会社の責任となります。 

さらに、定期健康診断は使用者である派遣元会社の義務ですが、有害業務に対する特殊健康診断は、該当する作業を管理する派遣先会社が実施する必要があります。 

派遣先会社で労働災害が発生した場合でも、使用者である派遣元会社が補償責任を負いますが、派遣先会社においても労働者への安全配慮義務が求められていることから、派遣元・派遣先会社の双方に死傷病報告の提出が求められています。 

派遣社員に対する法的保護は、派遣元会社と派遣先会社の両方に、役割を分担しながら適用されておりますので、派遣先会社としての責任を正しく理解する必要があります。 

今回のテーマに関連するご相談事例です。 

・職場でハラスメントが起きた場合、派遣先会社としての対応は? 
・派遣社員にも福利厚生施設を利用させなければならないの? 

ぜひ上記に当てはまる場合は、北海道雇用労働相談センター(HECC)をご利用ください。 

(執筆者: 安田 聡 相談員)

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